竹本 泰敏 助教
Laboratory
現代社会において、照明器具やエアコンといった家庭での生活から鉄道などの交通網に至るまで私たちの生活は、電力によって支えられています。この電力の発生から需要地までの供給を行う電力システムは、大規模かつ高度に制御された重要なインフラシステムです。近年では、地球温暖化をはじめとした環境問題の深刻化、エネルギー資源の乏しい我が国ではエネルギーセキュリティの確保などの課題が注目されています。さらに、情報通信技術、パワーエレクトロニクス技術などの進歩やPHEV、EVといった新たな電力利用機器の導入などが進んでいます。これらを背景に、今後の電力システムは、現在よりも低環境負荷化、高効率化が求められています。本研究室では、環境問題に配慮した地球にやさしく、安定的な電力システムの構築を目指して、再生可能エネルギー発電(小水力発電、太陽光発電、風力発電)に関する研究、電熱併給システムを利用した分散電源システム、エネルギーの地産地消を目的とした分散電源系統の構築などの研究を進めています。
環境負荷低減およびエネルギーセキュリティの確保、電力システムの効率化の観点からスマートグリッドが注目されている。本研究では、地域特性を考慮して利用する再生可能エネルギー発電を選択するとともに、電力資源の地産地消を行うことで、送電損失などを抑制した高効率かつ高電力品質を維持することができる分散電源システム構築を行っています。また、電力用系統解析シミュレータにより、本提案システムの二酸化炭素排出量、一次エネルギー消費量の削減効果、電力品質について解析を行っています。
太陽光発電や風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーを利用した発電は、低環境負荷電源であるとともに、エネルギーセキュリティの観点からも今後の導入拡大が期待されています。しかし、自然エネルギーを利用する発電であるため出力変動が大きく、大量導入時には、電力品質(電圧・周波数の変動)の低下が懸念されます。本研究室では、太陽光発電や風力発電と比べて出力変動が少なく、開発余力のある小水力発電に注目して、小水力発電の系統導入量増加による系統電圧への影響および系統並列時の突入電流などの影響について、電力用シミュレータによる数値解析と、スケールダウンした実験用模擬分散系統を併用して影響評価を行っています。
太陽光発電は、設置可能場所の多様性から導入が進んでいる再生可能エネルギー発電といえます。しかし、パネルの表面温度が上昇することで電力変換効率が低下することが知られています。本研究では、パネル背面に熱回収機構を付加して表面温度上昇の抑制、熱エネルギー回収をする電熱併給型太陽光パネルの試作を行い、電熱併給型太陽光パネルの設置環境による特性として、水温、気温などの周囲環境からの影響評価、パネル設置背面空間への影響評価するために学内の屋外実験施設において実測検証を行っています。